年内にやるお金の手続き|年末調整・ふるさと納税・iDeCo・医療費控除

この記事の結論
12月31日を過ぎると取り戻せないお金の手続きがあります。2026年は基礎控除などが引き上げられ、年末調整で還付が出る人が増える見込み。年末調整の書類、ふるさと納税の期限と上限、iDeCoの掛金上限の引き上げ、医療費控除まで、年内にやっておきたい4つを会社員向けにチェックリストで整理しました。
12月31日を過ぎると、取り戻せないお金があります。
年末が近づくと、仕事もプライベートも慌ただしくなります。でも、お金の手続きの中には「その年の12月31日まで」が区切りになっているものがあります。
たとえばふるさと納税は、年を越えるとその年の上限枠は使えなくなります。年末調整の書類に出し忘れがあると、もらえたはずの還付が少なくなります。2026年は税制改正で年末調整の中身が大きく変わり、iDeCoの掛金上限も引き上げられます。会社員の方を中心に、年内にやっておきたいことを順番に整理します。
① 年末調整:2026年は「戻ってくる」人が増える
2026年分の所得税は、基礎控除と給与所得控除が引き上げられ、所得税がかかり始める年収(課税最低限)は160万円から178万円に上がります。
| 項目 | 2025年分 | 2026年分 |
|---|---|---|
| 基礎控除(本則) | 58万円 | 62万円 |
| 基礎控除(合計所得489万円以下の場合) | 最大95万円 | 最大104万円 |
| 給与所得控除(最低保障額) | 65万円 | 74万円 |
| 扶養に入れる家族の年収の目安(給与のみ) | 123万円以下 | 136万円以下 |
毎月の給与から引かれる所得税は、1〜11月は改正前の計算のままです。引き上げ分は12月の年末調整でまとめて精算されるため、多くの人で還付が出る見込みです。
知らないと損するポイント
扶養に入れる家族の基準が上がったので、パートの配偶者や大学生の子どもなど、今年から新たに扶養に入れられる家族がいるかもしれません。家族の今年の収入見込みを確認してから書類を出しましょう。
家族の収入見込みを前年の感覚で書く
基準が136万円に上がったので、今年の見込みで判定し直す
19〜22歳の子どもの年収が多め
「特定親族特別控除」の対象になる場合がある
保険料控除証明書をなくした
保険会社に再発行を依頼。秋に届くハガキは捨てずに保管
23歳未満の扶養家族がいる
一般の生命保険料控除の上限が4万円から6万円に。申告書の新しい欄も記入
iDeCoを個人で払っている
「小規模企業共済等掛金払込証明書」を出さないと控除されない
途中で結婚や出産などで家族が増えた場合は、扶養控除等申告書の出し直しが必要です。
② ふるさと納税:上限を確かめて、12月31日までに決済
2026年分の控除を受けるには、2026年12月31日までに寄附を完了させる必要があります。判定されるのは申し込んだ日ではなく、受領証明書に書かれる寄附の日付です。銀行振込などは年末の受付が早く締め切られるので、クレジットカードなど即時に決済できる方法が安心です。
まず上限額を確認する
実質2,000円の負担で寄附できる上限は、年収と家族構成で変わります。昇給した年は上限も上がりやすく、iDeCoや医療費控除を使うと下がることもあります。年末には今年の給与がほぼ見えているので、給与明細を見ながら各サイトのシミュレーターで確かめましょう。
ワンストップ特例を使うなら
ポイント
2026年10月から、自治体側の募集経費や地場産品のルールが厳しくなりました。ただし、寄附する人の控除の計算や手続きは変わらず、返礼品は寄附額の3割以下のままです。一部の返礼品は掲載終了や内容量の見直しがあるので、申し込む前に最新の内容を確認しましょう。
③ iDeCo・NISA:掛金と枠を見直す
iDeCoは2026年12月分の掛金(2027年1月引き落とし分)から、掛金の上限が引き上げられます。
| 加入している人 | これまで | 2026年12月分から |
|---|---|---|
| 自営業・フリーランス | 6.8万円 | 7.5万円 |
| 会社員(企業年金なし) | 2.3万円 | 6.2万円 |
| 会社員(企業年金あり) | 2.0万円 | 企業年金と合わせて6.2万円 |
| 専業主婦(夫) | 2.3万円 | 変更なし |
- 掛金は全額が所得控除になるので、増やすほど今の税金は軽くなります
- ただし原則60歳まで引き出せません。生活防衛資金や数年内に使うお金を確保したうえで、無理のない額にしましょう
- 掛金を変える手続きの受付期間は、金融機関ごとに違います。自分の口座の案内で確認を
- 増額すると、ふるさと納税の上限は少し下がります。来年の寄附額を決めるときに意識しておきましょう
NISAは「使い切らなくていい」
NISAの年間投資枠(最大360万円)は翌年に持ち越せません。ただし、枠を埋めるために生活資金まで投資するのは本末転倒です。年内に追加で買うなら、注文から受け渡しまで数日かかるので、年末ぎりぎりを避けて早めに。詳しくはNISA・iDeCoのメリットと注意点で解説しています。
④ 医療費控除:領収書を年内に集める
1〜12月に家族で支払った医療費が10万円を超えたら、確定申告で医療費控除を受けられます。総所得金額等が200万円未満の人は、「10万円」ではなく「所得の5%」を超えた分が対象です。
- 対象は、生計を一にする家族の分も合算した金額。病院代・薬代のほか、通院の交通費も含まれます
- 保険で受け取った入院給付金や高額療養費は差し引いて計算します
- 10万円に届かない人は、市販の対象医薬品の購入費が1.2万円を超えた分を控除できる「セルフメディケーション税制」も(上限8.8万円。医療費控除との併用は不可)
年が明けてから領収書を探すのは大変です。年内に一度、家族分をまとめて合計しておきましょう。年内に支払う予定の歯科治療などがあれば、どちらの年に入れるかで控除できるかが変わることもあります。
確定申告が必要になる会社員の例
- 医療費控除を受ける(年末調整ではできない)
- ふるさと納税で6自治体以上に寄附した
- 副業などの所得が一定額を超えた、給与収入が2,000万円を超えた
確定申告の期間は、例年2月16日〜3月15日です。マイナンバーカードがあれば、自宅からe-Taxで申告できます。
FPの相談現場から
ご相談では「年末調整の書類は毎年同じだと思って、家族の欄を去年のまま出していた」という声をよく聞きます。今年は扶養の基準が変わったので、提出前に家族の収入見込みを一度確かめるだけで、受けられる控除が増えることがあります。
年内チェックリスト
- 1
11月
年末調整の書類を提出(家族の収入見込み、保険料控除証明書、iDeCoの証明書)
- 2
11〜12月
ふるさと納税の上限を確認して寄附。決済は12月31日まで
- 3
12月
iDeCoの掛金を見直すか検討。NISAは無理に枠を埋めない
- 4
12月
医療費の領収書を家族分まとめて合計
- 5
1月10日まで
ワンストップ特例の申請書を提出
- 6
2〜3月
必要な人は確定申告
まとめ
- 2026年は基礎控除などが引き上げられ、年末調整で還付が出る人が増える見込み
- 扶養に入れる家族の年収の目安は136万円以下に。家族の収入見込みを確認してから書類を出す
- ふるさと納税は12月31日までの決済分がその年の控除の対象。上限は年収と家族構成で変わる
- iDeCoは2026年12月分から掛金上限が引き上げ(会社員は月6.2万円まで)
- 医療費の領収書は年内に家族分をまとめ、10万円を超えたら確定申告へ
年末調整で戻ってきたお金も、使い切らずに先取り貯金で貯める・育てる口座に回すと、来年の自分を助けてくれます。昇給した年の手取りの変化は、年収が上がったときに確認すべきことでまとめています。
よくある質問
年末調整で還付されるのはいつですか?
多くの会社で、12月か1月の給与と一緒に戻ってきます。時期は勤務先によって違います。
住民税も今年から安くなりますか?
扶養の所得要件など一部の改正は、住民税では2027年度分(2027年6月ごろから)に反映されます。
ふるさと納税は年末にまとめてしても大丈夫ですか?
12月31日までに決済が完了すれば控除は受けられます。ただ、年末は人気の返礼品が品切れになったり、サイトが混み合ったりします。上限が見えたら早めに寄附しましょう。
