証券口座の乗っ取り対策|5分でできる設定チェックと被害時の連絡順

この記事の結論
証券口座の乗っ取りは、金融庁の集計で2025年1月〜2026年9月に不正取引10,642件。入口の多くは偽サイトです。ログイン方法・通知・パスワードの3点を5分で見直し、万一のときの連絡順も決めておきましょう。FPが整理しました。
証券口座の守りは、ログイン方法・通知・パスワードの3点を5分で見直すことから。
「ネット証券の口座が乗っ取られて、身に覚えのない株が買われていた」。そんなニュースを見て、不安になった方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、被害は特別な人だけの話ではなく、どの証券会社でも起こりえます(金融庁)。入口の多くは、証券会社を装った偽サイトにIDやパスワードを入力してしまうこと。対策は、①フィッシングに強いログイン方法にする、②通知を入れる、③パスワードを使い回さないの3つです。この記事では、5分でできる設定チェックと、万一のときの連絡順をまとめます。
被害はどれくらい?金融庁の集計では2025年4月がピーク
金融庁の集計(各社の報告にもとづく暫定値)では、2025年1月〜2026年9月の累計で、不正アクセスは19,252件、そのうち不正取引まで行われたものは10,642件でした。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 不正アクセス件数(累計) | 19,252件 |
| 不正取引件数(累計) | 10,642件 |
| 不正取引の売却金額(累計) | 約4,372億円 |
| 不正取引の買付金額(累計) | 約3,837億円 |
| 月別のピーク(2025年4月) | 不正取引3,033件・売却約1,625億円 |
知らないと損するポイント
金融庁は、この金額が「被害口座内の不正取引の合計」であり、利用者が実際に被った損失額とは一致しないと注記しています。数字は暫定値で、まだ判明していない被害がある可能性もあります。
月ごとの件数は2025年春にピークを迎えたあと減っていますが、2026年に入っても毎月100件前後の不正取引が確認されています(金融庁・2026年9月分は集計途中)。「もう収まった」とは言えません。
乗っ取りの手口は?偽サイトで盗み、売って、買う
金融庁が挙げる典型的な流れは、次のとおりです。
- 証券会社を装ったメール・SMS・SNS広告のリンクを開く
- 偽のログイン画面にIDやパスワードを入力し、情報を盗まれる
- 盗んだ情報で第三者が不正ログインし、保有株を売却される
- 売却代金で、国内外の小型株などを買い付けられる
ポイント
入口は1番目のリンクです。正規のサイトを、ブックマークや公式アプリから開く習慣で、入口をふさげます。
ウイルス(マルウェア)で情報を抜かれるケースもあります。注意したいのは、第三者の口座へ出金されるのではなく、口座の中で株が売られ、別の株が買われる手口が多いと金融庁が説明している点です。気づかないうちに、保有株が別の銘柄に入れ替わっていることがあります。
5分でできる設定チェックリスト
金融庁が利用者に求める対策を、チェックリストにしました。まず次の6項目を確認してください。
| 確認すること | やること | 目安時間 |
|---|---|---|
| メールやSMSのリンク | 見覚えのある相手でも開かない | 0分 |
| ログイン方法 | 正しいURLを登録したブックマーク、または公式アプリから入る | 1分 |
| 認証の強さ | 多要素認証を有効にする。パスキーなど、フィッシングに強い認証が使えるなら早めに設定 | 2分 |
| 通知 | ログイン・取引・出金・出金先変更の通知サービスをオンにする | 1分 |
| パスワード | 使い回しをやめ、長く推測されにくいものにする | 1分 |
| 端末 | スマホ・PCのOSとアプリを最新にし、ウイルス対策を入れる | 随時 |
ポイント
パスワードを入力する認証は、偽サイトに入力すると盗まれます。パスキーのような「入力しない認証」は、偽サイトでは使えないため、フィッシングに強いとされています。使える証券会社なら、優先して設定しましょう。
設定のしかたは会社ごとに違います
パスキーや通知の設定画面は、証券会社によって名前も場所も違います。「セキュリティ設定」「ログイン設定」などの項目を、公式アプリから開いて確認してください。検索して出てきたサイトから入ると、偽サイトにたどり着くことがあります。
被害に気づいたときの連絡順
身に覚えのないログインや取引に気づいたら、慌てずに次の順で動きます。
- 公式アプリや公式サイトの連絡先から、証券会社の問い合わせ窓口へ連絡する
- 窓口への連絡とあわせて、パスワードなどを変更する
- 取引履歴・通知メール・画面の記録を残す
- 不安が残るときは、金融庁金融サービス利用者相談室(0570-016-811、平日10時〜17時)へ
知らないと損するポイント
偽サイトに情報を入力してしまったかもしれない場合は、取引に異変がなくても、窓口へ連絡して、パスワードをすぐに変更しましょう。
補償はどうなる?「全額戻る」とは限りません
乗っ取られたときに損失が補償されるかどうかは、証券会社ごとの方針や契約内容で異なります。「必ず全額戻る」と思い込まず、いま使っている証券会社の公式発表と約款を確認してください。
- 1
補償の有無と割合
不正取引の損失をどこまで補償するか、公式の発表があるか
- 2
条件
通知や多要素認証の設定など、利用者側に求められる条件があるか
- 3
連絡の期限
被害に気づいてから、いつまでに連絡すべきか
FPの相談現場から
ご相談では「口座は複数あるけれど、どこで何を設定したか覚えていない」という方が少なくありません。まず口座の一覧をつくり、通知・認証・パスワードの設定を1社ずつ○×で確認すると、見落としが見つかります。口座が増えるほど、守る作業も増えると考えておきましょう。
守る駅のチェックリスト
メールのリンクからログインしている
ブックマークか公式アプリから入る
パスワードを他サービスと同じにしている
口座ごとに長いものを設定し、使い回さない
通知をオンにしていない
ログイン・取引・出金の通知で、異変に早く気づく
使っていない口座を放置している
使わない口座は残高をゼロにし、解約も検討する
被害に気づく手段がない
月に一度は取引履歴を見る日を決める
まとめ
- 証券口座の乗っ取りは、金融庁の集計で2025年1月〜2026年9月に不正取引10,642件。2026年も続いている
- 入口の多くは偽サイト。リンクは開かず、ブックマークか公式アプリから入る
- 多要素認証・パスキー、通知、パスワードの使い回し防止の3点を5分で見直す
- 被害時は、証券会社の窓口へ連絡して、パスワードを変更する。補償は会社ごとに異なる
預金側の守り方は金利のある時代の預金の選び方、口座を増やす前の準備はお金の現在地を知る|家計の見える化3ステップ、長期の資産形成はNISA・iDeCoのメリットと注意点で解説しています。
よくある質問
証券口座を乗っ取られると、お金を引き出されますか?
金融庁は、第三者へ出金される手口ではなく、口座内で保有株が売られ、その代金で小型株などが買い付けられる手口が多いと説明しています。ただし、手口は変わる可能性があります。出金や出金先変更の通知もオンにしておきましょう。
多要素認証にしていれば安全ですか?
安全度は上がりますが、絶対ではありません。偽サイトで認証情報を一緒に盗まれる手口もあるため、金融庁はフィッシング耐性のある認証(パスキーなど)を速やかに設定するよう呼びかけています。
使っていない証券口座も危険ですか?
放置した口座は、不正ログインに気づきにくくなります。使わない口座は、残高を移して解約を検討しましょう。残す場合も、通知とパスワードの見直しは必要です。
被害に遭った場合、まずどこへ連絡しますか?
まず契約している証券会社の問い合わせ窓口です。あわせてパスワードを変更します。相談先として、金融庁金融サービス利用者相談室(0570-016-811、平日10時〜17時)もあります。
