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遺言書の選び方|自筆証書の法務局保管と公正証書を費用で比較

監修:独立系ファイナンシャルプランナー
 | 読了 約5分
遺言書の選び方|自筆証書の法務局保管と公正証書を費用で比較のイメージ

この記事の結論

遺言書は、自筆証書を法務局に預ける(保管申請3,900円)か、公証役場で公正証書にするかで、費用・手間・検認の要否が変わります。法務省と日本公証人連合会の公開情報をもとに、FPが違いと選び方の順番を整理します。

遺言書は「書くかどうか」の前に、「どの方式で残すか」で手間と費用が大きく変わります。

相続の話になると「遺言書は大げさ」と感じる方は多いものです。けれど、財産の行き先を自分の言葉で決めておけるのは遺言書だけです。

結論から言うと、費用を抑えて手軽に残したいなら「自筆証書遺言+法務局の保管制度」、形式の不備を避けて確実に残したいなら「公正証書遺言」が選択肢の中心です。手数料は保管制度が1件3,900円、公正証書は財産額で決まります(法務省、日本公証人連合会)。違いを表と手順で整理します。

遺言書の主な2つの方式|まず違いを一覧で

遺言書にはいくつかの方式がありますが、実際に比べるのは次の2つです。

自筆証書(法務局保管)と公正証書の比較
項目自筆証書遺言(法務局保管)公正証書遺言
作る人遺言者本人が書く公証人が遺言者の話をもとに作る
費用保管申請 1件3,900円財産額に応じた手数料(例:1億円以下は遺言加算1万3,000円が別途)
証人不要2名が必要
家庭裁判所の検認不要(保管制度を使う場合)不要
手続の場所法務局(遺言者本人が出向く)公証役場(出張も可)

ポイント

どちらも、相続開始後に家庭裁判所の検認が不要です。自筆証書でも、自宅保管だと検認が必要になる点が分かれ目です。

自筆証書遺言を法務局に預ける|費用と手順

法務局の保管制度は、自筆で書いた遺言書を国の機関で預かる仕組みです。

手数料は1件3,900円

遺言書の保管申請は1件につき3,900円(収入印紙で納付)です。撤回や変更の届出に手数料はかかりません(法務省)。

手順は「予約→本人が出向く→保管証」

Q遺言書を自分で書いた?
はい住所地・本籍地・不動産の所在地のいずれかを管轄する保管所を予約する
いいえ先に遺言書を自書で作る(財産目録はパソコン作成や通帳コピーの添付も可)
  1. 管轄の遺言書保管所を決めて予約する(予約は必須)
  2. 予約日に遺言者本人が、遺言書・申請書・住民票の写し・顔写真付き身分証・手数料を持って出向く
  3. 手続後に保管証が交付される。再発行はできないので、保管に注意する

知らないと損するポイント

代理人による申請や郵送での申請はできません。ホチキス止めはせず、封筒も不要です(法務省)。

保管期間

保管期間は、原本が遺言者の死亡後50年間、画像データは150年間です(法務省)。

公正証書遺言|費用は財産額で決まる

公正証書遺言は、公証人が遺言者の話を聞いて文章にします。証人は2名で、遺言者側で手配するか、公証役場で紹介を受けられます。推定相続人や遺贈を受ける人は証人になれません(日本公証人連合会)。

公証人手数料の目安(遺言1通の財産額ごと)
財産の価額手数料
100万円超200万円以下7,000円
500万円超1,000万円以下2万円
1,000万円超3,000万円以下2万6,000円
3,000万円超5,000万円以下3万3,000円
5,000万円超1億円以下4万9,000円

実際には、財産を受け取る人ごとに額を当てはめて合計し、財産が1億円以下なら遺言加算として1万3,000円が加わります。例として、妻に6,000万円(4万9,000円)、長男に4,000万円(3万3,000円)なら、合計8万2,000円に加算1万3,000円を加えた9万5,000円です(日本公証人連合会)。

ポイント

令和7年10月1日から、法務大臣が指定する公証人が作る公正証書は、原則として電子データで作成されます。条件を満たせばウェブ会議での作成も可能です(日本公証人連合会)。

選び方の順番|この3問で決める

方式を選ぶ3つの問い
  1. 1

    内容の複雑さ

    不動産が複数、相続人以外への遺贈、事業承継がある場合は、公正証書や専門家への相談を優先

  2. 2

    費用と手間

    財産の分け方がシンプルで、まず形にしたいなら法務局保管が手軽

  3. 3

    形式の不安

    自書の不備が心配なら、公証人が関わる公正証書が安心

FPの相談現場から

相談では「まず自筆で書いてみたが、これで足りているか不安」という声をよく聞きます。保管制度でも、法務局は遺言の内容までは相談に乗りません。書いた後の見直しは、専門家に確認すると安心です。

書く前に整理しておきたいこと

遺言書づくりでつまずきやすいこと
注意点対策
  • 財産を把握していない

    預貯金・不動産・保険・有価証券を一覧にしてから書く

  • 家族に何も伝えていない

    遺言書の存在と保管先を、伝えておく範囲で共有する

  • 書いたまま放置する

    結婚・出産・不動産の購入や売却のたびに見直す

  • 自宅保管で紛失する

    法務局の保管制度や公正証書を検討する

まとめ

  • 手軽さなら自筆証書+法務局保管(3,900円、本人が出向く、検認不要)
  • 確実さなら公正証書(財産額で手数料、証人2名、検認不要)
  • 自宅保管の自筆証書は検認が必要
  • 内容が複雑なら、専門家に相談してから方式を決める

相続の全体像は相続税の基礎控除はいくら?、生前に渡す方法は生前贈与の選び方で解説しています。

よくある質問

遺言書は何歳から書くべきですか?

決まった年齢はありません。結婚、出産、不動産の購入など、家族や財産の状況が変わったときが書き時です。

法務局に預ければ、内容の相談もできますか?

できません。法務局は、遺言の内容に関する相談を受けていません。内容は専門家に確認しましょう。

公正証書遺言は、遠くの公証役場でも作れますか?

公証人の出張による作成や、条件を満たす場合のウェブ会議での作成が認められています(日本公証人連合会)。

自宅保管の自筆証書遺言は、どうなりますか?

相続開始後に、家庭裁判所での検認が必要になります。法務局の保管制度を使うと不要になります。

参考資料・出典

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